2016年から2020年に週刊少年ジャンプで連載された約束のネバーランドを
2021年1月に一気読みしました。
ジャンプで開始した当時はハウスでの話が面白かったので、週刊では読まずに完結するまで待ち続け、ようやく読みきりました。
まだ一回ざっくり読んだだけですが、その感想や気になったこと、自分の中で謎のまま終わったことについて書いておこうと思います。
ネタバレするので、まだ未読の人はスクロールしないことをお勧めします。
ざっくりあらすじ
森の中に建てられたグレイスフィールド(GF)ハウス。そこでは孤児が集められ、イザベラというママが子供たちのお世話をしている。
衣食住に困らず勉強もできる。そんな何不自由ない暮らしで健やかに育つ子供たち。
エマとノーマン、レイの3人が物語の主人公。3人はハウスきっての逸材でテストでは毎回満点をたたき出す。
ある日コニーという女の子がハウスから里親に出される。うっかり物のコニーがハウスに大好きな人形を忘れていたので、人形を届けようと夜中にエマとノーマンは近づくなと言われていた門まで行った。
そこで死んだコニーを見つけてしまい、ママが鬼といた。
ママと鬼の会話からハウスの子供たちは鬼の食用として育てられていたことを知ったエマとノーマンはハウスからの脱出計画を立てる。
ママと子供たちの心理戦が繰り広げられるが、エマはママに足を折られ、ノーマンは脱出直前に出荷されてしまう。
しかし、何とかハウスから脱出したエマとレイと5歳以上の子供たちは、W・ミネルヴァという人物が与えてくれたヒントを頼りにシェルターを目指す。
途中追っ手につかまりかけるが人を食べない鬼のムジカとソンジュに助けられ、何とかたどり着いたシェルター。
しかし、そこにはミネルヴァはおらず、他のハウスから逃げシェルターに住んでいるおじさんだけがいた。
ゴールディポンド(GP)を目指せという次なる指示をシェルターで見つけたエマは、レイとおじさんの三人で調査に出る。
GPにたどり着いた3人だがエマだけ鬼に捕まり、バイヨン卿という鬼の猟場に連れてこられる。
その猟場はミネルヴァが用意した町だったが、鬼に乗っ取られ人間を狩りたいというバイヨン卿の遊び場だった。この街に別のハウスの子供たちが連れてこられ、鬼との鬼ごっこが日々繰り広げられていた。
エマは、オジサンの仲間だったルーカスと他のハウスの子供たち、合流したレイとおじさんと力を合わせて、バイヨン卿・大公レウウィス・ノウス・ノウマ・ルーチェという鬼たちを撃退する。
猟場の地下に人間世界に繋がるエレベーターとミネルヴァの録音が残されていた。
ミネルヴァは既に死んでいること
エレベータは使えないこと
この世界は最初の鬼と交わした約束により成り立っていること
この世界を変えたいなら最初の鬼と約束を結びなおすこと
鬼と会うには七つの壁を超えること。
いったんシェルターに戻るエマ達は、7つの壁のヒントがあるというクヴィダラへ向かう。そこでエマの意識に最初の鬼が語り掛け正しい入口から入ってきたら遊ぼうと言い残し、入り口へのヒントを残す。
エマ達は1年半ほどかけて七つの壁にたどり着く方法を見つけ出しシェルターに戻るが、鬼側につくラートリー家の傭兵に襲撃される。
おじさんことユウゴとルーカスが犠牲になりながら何とか追ってから逃げるエマ達は、シェルターを脱出する前にミネルヴァから「ライオンの口」に集まれという伝言を聞き、集合場所を目指す。
たどり着いた先にいたのはミネルヴァではなくノーマンだった。
ノーマンは出荷後食べられずにラムダ(Λ)試験場へ送られていた。そこで出会った仲間たちと試験場を脱出し、鬼を倒す計画を立てていた。
鬼を殺したくないエマは七つの壁をレイと超えようとするがエマだけが最初の鬼と会う。エマは約束を交わしなおし、ノーマンに伝えようとするがエマが戻った時にはすでにノーマンの作戦は決行され、同盟を結んだギーラン一家が王都に侵入し女王を襲撃する。
ギーラン一家は女王の力に負けるが、間髪入れずラムダ試験場のメンバーが女王を襲い鬼の核を潰した。しかし、核が2個ある女王は周囲の鬼を手当たり次第に食べ傲慢ちきな性格に一層の傲慢さ磨いて反乱軍に襲い掛かかる。
女王の弟であるソンジュとムジカの助けもあり何とか女王を倒す。
そのころ、王都から出征していた一部の鬼がシェルターを襲い子供たちをさらいGFに立てこもる。女王が倒れたことを知るラートリー家は自分たちが鬼と子供たちを支配しようとするが、GFに連れてきたイザベラやママたちの裏切りもあり、ラートリー家は負けてしまう。
一方王都では、人の形を保てる血を持つムジカが反逆者として捕まり処刑されかけるが、突如現れた大公レウウィスがその場を収め、ムジカを女王とし農園は廃止することを宣言する。
全てに片をつけたエマ達は、最初の鬼と交わした約束を実行するためにGFの地下にある人間界に繋がる階段まで降りてくる。
最初の鬼の力で食用児全員が人間界に転送される。しかし、ノーマンやレイたちのそばにエマだけがいなかった。
エマは鬼との約束で食用児全員を人間界に送る代わりに自分の”家族”を奪われることを代償として払っていた。
辺境の地に記憶も奪われたエマは拾ってくれた老人と過ごすが、出かけた先でエマを探していたノーマンたちと再会する。ノーマンたちはエマを見つけ出し感極まるが、エマはノーマンたちの記憶がなく戸惑う。戸惑いながらもノーマンたちに懐かしさが込みあがりまた家族として一から一緒に過ごすことを決意する。
王都では、ソンジュが気ままに遊ぶレウウィスに悪態をつきながら女王となったムジカと仕事をし穏やかな日々を過ごしていた。
感想
読み終えた時の感想は、ほぼほぼハッピーエンドで終わって良かったということ。
ジャンプの漫画は正義と悪の2項対立の物語が多く(あくまで自分の印象ですが)、約ネバも最初は鬼を一掃して終わるのかと予想してたけど、最終的に鬼は鬼の世界を、人間は人間の世界をそれぞれ完全に2分することで双方が生き残る道を進んだ。
この点が今までのジャンプと違うな感じた理由かな。
この漫画は、鬼と子供たちの戦いの果てに求める世界を手に入れたという物語やけど、実は人の振り見て我が振り直し、落としどころを考えろ的な物語ではないかと思う。
というのは、人を食べる鬼を殲滅したいと子供たちは考えるが、鬼は人の形を保つために人を食べているだけで(美味しいからという理由もあるが、それは嗜好の問題)、人も生きるために動物を狩りをする。
ということは、人も鬼もやっていることには変わりはないので、一方的に鬼を殲滅するというのは人の側の正義でもなんでもない。
まぁムジカという必殺技があったから、約ネバは双方が不利益を被らない結果となったんやけどね。
さらに細かく登場人物の意図や思いを見ていくと、これは少年漫画の部類か?ヤンジャンとかグランドジャンプとかの大人向けの雑誌に掲載されてもいいのではないかと思わされるほど思惑や思いが絡み合った漫画だ。
自分が小学生だったら単に読み終えておしまいと本棚に戻すところ。
さらに同時期に掲載されていた鬼滅の刃ほど子供たちに人気があるとは思えないので、やはり子供には刺さらなかった漫画ということになる。
- 人と鬼間の支配・被支配者の関係
- エマとノーマンの対立
- ママやシスターの抗いたいが抗うと殺されるという絶望感
- ユウゴやルーカスの抗おうとするが鬼の圧倒的な力による諦めに近い悲壮感
- 野良落ちさせられたギーランの復讐心と変わってしまった心
- 自分より高みにいる者が気に食わない女王の傲慢ちきな性格
- ラートリー家の兄弟喧嘩と一家問題
フィル並みに聡い子供でないとこんなこと意識できないにちがいない。
ちなみに、エマが女の子って結構話が進んでからわかった。
最初は、全然女の子っぽくない印象で、ノーマンとレイの男の子3人組かと思ってた。
あえて性別をわかりづらくしてたのか、たまたま作画的にそうなったのかわからんけど、エマっていう名前で気づけなかったので読み方がざっくり過ぎる。
みんなどこで気づきました?
最後に、誰がお気に入りかと言われれば、シスタークローネ。
野心や反骨心があるけど、子供たちとの鬼ごっこでの「見ぃつけた」や床に這いつくばって足跡を探しだそうとする行動が怖い怖い。
こうゆうのが一番印象に残るんです(笑)。
これはパロディー?
エマとレイが七つの壁に行ったときに、入り口はどこでもドアのような扉と入った先ではニタっと笑った口のついた黒いボールが転がってくる。
これって完全に真〇の扉とホム〇クルスですよね。
作者が牛の錬成漫画のパロディにしか見えず、鬼と会ったときに思わず「おと〇さま」って叫んでしまった。
これは狙って描いたのか?
フィルが賢すぎませんか?
ハウスを脱出する際にエマは子供たち全員を脱出させたかった。けれど、赤ちゃんや小さな子供を連れて脱出するのは現実的に無理なので、出荷されない4歳児以下の子供はハウスにおいて5歳児以上だけで脱出した。
その脱出計画を変更したときにエマはフィルに事のいきさつを全て話した。
- 子供は鬼に食べられること
- ママは鬼側の人間であること
- 4歳児以下は連れていけないので置いていくこと
これを4歳児が理解してエマ達が迎えに来てくれることを待ってると言い出すフィルさん。
しかも、人間界に送られた後にエマと再会するけど、記憶なくしてるエマの状況を理解し仕方がないと状況を整理する。
めっちゃ賢いやんね。
何気に一番大人な4歳児。
さすがGFの子供。
どんな教育をすればこんな子が育つのか。
謎のまま読み終えたこと
いろいろと謎のまま終わったことがあります。
- GFの識別番号のつけ方
- ユウゴとルーカスの年齢を伏せていたこと
- シェルターが傭兵に襲われたときにユウゴが机の下に死体を隠していた場面
単行本には、作者さんが約ネバの見どころについてコメントしてるんですが、結局わからずじまいで終わってしまった。
特に3については、何回見ても机の下に傭兵なんか転がってるコマを見つけれなかった。
またじっくり読む機会があれば探そうと思います。
まとめ
総じて、約束のネバーランドは大人向けの漫画だと思います。
単に自分たちが望む世界を手に入れて終わりではなく、それぞれのキャラにどんな背景と思惑があって行動しているかを見ると非常に面白い作品でした。
絵も細かく描き込まれ、扉絵とか見てると楽しいんです。
完結を待った甲斐があった漫画でした。