Lilabo

世のデスクワーカーの生活の質をシフトしたい

本棚:2020年9月

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COVID-19が発生してから1年が過ぎますね。

11月に入り感染者・重傷者が増加しているなか、ワクチンも異例の速さで承認されようとしている。

ただ、やはり副作用が怖いので接種できると言われても、ちょっと考えますね。

なぜ薬の承認が遅いかというと、薬の安全性を確かめるために臨床データを長い年月を得るから。

2020年9月に読んだ本一覧

そもそも、健常人で安全性を確かめ試験だけでも一年はざらにかかります。

それは、候補品ができればすぐに臨床試験ができるわけではなく、試験計画・人集め・データ収集・解析・報告書作成など工程が多く、それは人の安全を守るためなんですね。

そんな話はひとまず置いておいて2020年9月に読んだ本10冊をご紹介。

 

僕は君の「熱」に投資しよう、佐俣アンリ、ダイヤモンド社

 ベンチャーキャピタリストは金融取扱期間ではなく才能取扱期間だ!

という考えのもと起業家に投資している著者が、

自分がなぜ投資家に投資するか、

起業家というのはどんなものか、

について書いた1冊。

 

著者は、リクルートを退社し飛び込みで投資家のかばん持ちを経験し、独立してベンチャーキャピタリストとして活動している。

 

未来を変える起業家を探したり、

金はないがやる気だけある起業家に仕事場や米を与えたり、

投資した起業家が炎上しても見捨てなかったり、

自分も叩かれたりと、

投資家活動での経験や考えてきたことがまとめられている。

 

気になったポイントだけ抜き出すとこんな感じ

  • 自分の熱を肯定しろ
  • 規模を100倍にしろ
  • 居るべき場所を間違えるな
  • 苦境でも笑っていられるタフさが必要
  • 事業にしがみつかず打席に何回も立ち、事業を成長させたやつが経営者として成長する

投資家としての仕事論を終始熱く語っている本で、過去に投資した起業家の話が読めてオモシロく読めた。

ただ、起業家の仕事の方法論は一切なく、ただただ起業家としてどうあるべきかを語っている。

なので、自分の熱を持っていてやる気だけある起業家はたぶんこの本は読まない。というかそんな起業家は本を読むことなんて眼中にすらないのではないだろうか。

とりあえず、やりたいことはあるが就職するべきか、そもそも就職なんてしたくなくて経営者になりたいとか、

人生に迷っている若者(30代40代で起業しようとしている人に会ってくれるかはわからない)は、

佐俣アンリに連絡を取ればいい。

 

ドラえもんがのび太君に

「迷うひまがあるなら行動しろよ」

って言う場面があるけど、

その通りで悩む・迷う暇があるくらいなら行動するしかない。

 

 

100分で名著「坊っちゃん」、養老孟司、NHK出版

 読書好きな養老さんだからこそ、本に対する姿勢が書かれている。

本は好きだけど、机に向いて本をじっくり読むことはなく、何かのついで(つまらない教授会で本を読むとか、移動時間とか)に読む程度らしい。

しかも、必要なところさえ読めればいいので、記事を破いて持ち歩き、たまれば閉じればいいという考え方。

たしかにきれいな本よりよっぽど生きた養老流の本になりそう。

試してみたいけど、どうしても本を破くというのができなので、今度雑誌でスクラップを作ってみようかな。

本自体は、100ページくらいの分量でサクッと読めるので、電車の時間のおともに読んでみてはいかがでしょうか。 

 

自分の薬をつくる、坂口恭平、晶文社

 ”薬”ってなんでしょう。

体の調子が悪い時にお医者さんにいけばもらえるもの。

けど、お医者さんがくれるのは医薬品であって、薬って言われるのはそれだけではないですよね。

お酒は百薬の長って言われるし、食べ物も体の調子を整えてくれる。

では、薬ってなんだ。

この本では、躁鬱病と過去に診断された著者が薬に頼らず自分で自分の体の調子を管理していった経験からワークショップ形式で、相談者の悩みに薬を出していく。

で、著者がいう薬というのは”日課”。

薬=”毎日”飲む=歯磨きや睡眠=日課

まぁだいぶ強引な印象ですけど、言いたいのは日常生活を整えることで精神的な安定を図ろうというもの。

それに加えて何かしらアウトプットすることが大事と説く。

人は、「好奇心がない」「興味がない」「関心がない」という状態になると気持ち的には焦りが生じ、自分がダメな存在に感じやすくなる。

けど、著者はこの”3ない”状態は脳がアウトプットするために外からのインプットを止めている状態という。

なんなら、著者自身はこの状態がないと自分の気持ちが作品に入りすぎて作成ができないらしい。

なので、自分が心地良いと思える日課(たとえば、”起きる時間はこの時間”、”作業効率のいい時間はこの時間”みたいに)を見つけ出し、日記でも絵でも楽譜でも劇でも歌でもなんでもいいからアウトプットしよう。

 

本の構成としては、最初に上記の内容が最初にオリエンテーションとしてあり、後半は相談者の悩みを聞いていくワークショップ形式。

それぞれの相談者に、日記をつける、妄想で会社つくる、なりたいものがあればなっちゃえばいいと。けど、結局これって自分の中の声に耳を傾けて、自分の外に出してあげる作業なんですよね。

よく声に出してみたらスッキリしたっていうことがあるんですけど、やっぱり自分の中に溜め込むのがよくない。溜まったら出しましょうね。

 

ただ、著者の坂口さんは、新政府を樹立したり、希死念慮の強い人からの相談電話に乗ったりと、結構自由奔放なようで、本の内容もだいぶ自由奔放です。

 

自分の薬をつくる

自分の薬をつくる

 

 

すべての女子はメンヘラである、スイスイ、飛鳥新社

「不安にさせてごめん」が主食で、わざと吐き、わざと倒れ、激やせし激太りし、物を投げ、折り、砕き、裸足で国道に飛び込んだり、授業中やバイト中も突発的に泣いたりするぐらいにはハードなメンヘラだった。

 はじめにから抜粋

いやいや、メンヘラってなんて恐ろしいんや。。。

とメンヘラの実態を知りたいがために買った一冊。

レジで出しにくいので、ビジネス本も併せて購入するという技を発動しました。

著者であるスイスイさん自身が17歳から21歳くらいまでハードメンヘラだったが、旦那となる男性との出会いによりメンヘラを飼いならし執筆時には2児の母の4人家族でリア充となった。

という経験をもとに、この本ではメンヘラの飼いならし方が書いてある。

メンヘラさんの話でありがちな手首を切ったり泣きながら延々と電話するとかいう劇は

どうやら相手があって成り立つ模様。

全てを受け入れたい男と全てを受け入れてほしい女。

この2つがないとメンヘラ劇場は開かれない。

メンヘラ女子の大好物は愛されている実感で、相手から”得る”ことより相手が”何を失った”かに萌える。

なんなら失ってほしいのは「時間」だけでなく、

「お金」に「体力」も失ってほしい。

もう理解不能。

恐ろしきメンヘラ。

 

本の内容は、最初にメンヘラがどういうものか、どうやればメンヘラをコントロールできるか(そもそもメンヘラはなくならいという前提)、お悩み相談という流れ。

けど、恋愛という劇場でメンヘラを爆発させていたスイスイさんも、恋愛という劇場でメンヘラを克服した。

メンヘラを直したいと思っている女性陣は読んでみてはどうでしょうか。

直るか直らないかはあなた次第。

 

すべての女子はメンヘラである

すべての女子はメンヘラである

  • 作者:スイスイ
  • 発売日: 2020/08/06
  • メディア: Kindle版
 

 

13歳からのアート思考、末永幸歩、ダイヤモンド社

ここ2,3年でアートについての本が多数出版されているのですが、2020年時点で一番腹落ちというか納得感があった一冊。

この本は、自分の意見を持ちたいけどどうすれば持てるのかわからない人、すぐ答えや正解を求めようとする人、子供に自由な発想を持ってほしいと思っている人向け。

読んだ後に、目にしたアートや建物、街づくりだけでなく、日常目にする物に対して”どうしてそうなったか、自分ならどうするか”を考える癖が出てきたので、インパクトのある本棚と感じました。

ただ、注意しないといけないのは、自分の個人的問題だと思うのですが、どうしても批判的な意見を出してしまいがちということ。

この本自体は批判論について書かれているものではなく、物の見方や相手がどう考えているかを想像してみようというのが趣旨です。

しかしながら、その想像がネガティブというか良いところを見つけれない傾向があるので、普段人と話しているときも実は相手をイヤな気にさせているのかもと考え込んでしまいました。

よくもわるくも自分にはインパクトのあった本。

「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考
 

 

運動嫌い、中野ジェームス修一、NHK出版

いつの時代も健康とダイエットは外せません。

だから、ダイエット本が流行るわけなんですが。

痩せるには筋肉をつけるしかない。

健康になるには筋肉をつけるしかない。

と日ごろ思っていますが、フィジカル分野の人はそもそも運動に対する認識が一般の人と違っていました。

運動する人、運動しない人、子供を世話して会社で働く親御さん、その他大勢。

彼ら彼女もやはり日ごろ運動はしないといけないと思い、ジムやヨガに通い、家で筋トレをしたりしているようですが、中野さんはこれらは運動ではないと言い切っています。

なら、何が運動なのか?

ちまたで売れている”これをすれば簡単に痩せる”本は切って捨てた一冊。

あなたの運動は運動なのか。

サクッと読めるので、確かめてみてはどうでしょうか。

 

 

10分あったら、どう考える?、野沢幸司、大和出版

博報堂でコピーライターをやっている著者さん。

アイデアを出すために、ちょっとした隙間で頭を柔らかく使ってみようという本。

実際、仕事で広告を依頼されたときには、頭が煮えたぎるくらいまで考えてアイデアを出す必要はある。

けれど、そのアイデアを出すには普段から頭を柔らかく使っていこうよというのが本の趣旨。

おもしろくないことの面白さを見つけ出したり、

別人になってみたり、

普段と違うことを考えてみたりと。

関係ないニュースのつながりを考えてみる。

 

娯楽にもビジネスにも共通しているのは、物語がおもしろいかが重要、ということだけだと」思うのです。

物語力って、けっこうなビジネススキル。

 p125

面白い物語を作れるかってすごい重要だと思います。

なぜかっていうと、人は面白くないとすぐ興味がなくなり、別の面白そうなことに飛び移るから。

ツイートもインスタも、Youtbeも、おもしろくないと簡単にスクロールで飛ばすことができる。 

事実をいうことはできるけど、人にオモシロく興味をもってらえるようにこのブログも書いていかねば!

 

 

キングダム59、原泰久、集英社

ついに秦趙大戦が終了しましたね。

「そっちからか!!」って思わず思った59巻。

というのは、鄴に入城したのに食べ物がないので兵士たちが飢えで死んでいく状況にも関わらず、秦からの兵糧部隊はことごとく趙兵にやられる始末。

しかし、最終的には鄴に食料が届き飢え問題が解決されるという結果になるのですが、王翦将軍はそこまで先の手を打っていたのかと感嘆した次第です。

にしても、出陣したのが46巻だったので今回の秦趙大戦は合計14巻という長さ。

それだけ、この大戦が重要だっということでしょうか。

けど、まだ趙を滅ぼしたわけではなく鄴という首都邯鄲の近城を落としただけなので、こっから先キングダム自体はまだまだ続くということでしょうね。

 

キングダム 59 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

キングダム 59 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

  • 作者:原泰久
  • 発売日: 2020/10/19
  • メディア: Kindle版
 

 

やさしい日本絵画、山下裕二、朝日新聞出版社

日本絵画のイメージって何でしょうか。

水墨画や浮世絵あたりがパッと浮かぶのではないでしょうか。

 

この本では、飛鳥時代から昭和初期までの有名な作品や画家をまとめた一冊になっています。

それぞれの時代背景がありどんな絵柄が好まれていたか、どんな技術を海外から取り入れてきたかがざっくりわかります。

また、人物や作品にわかりやすくコミカルなコメントも入っているので、人物像や作品の見るポイントなどがわかりやすい。

一つ面白いなとおもしろいと思ったのは、”瓢鮎図”(ひょうねんず)。

これは、”ひょうたん”で”なまず”を捕まえることができのかという禅問答に禅僧31人が回答した水墨画です。

絵の上に漢文で解答が書いてあるのでもちろん読めませんが解説のコメントがかいてあり、

「むりゲー」「そもそもなんでそんなことをしようとするのか」みたいな回答らしい。

今でいうと、ツイッターのボケにみんなリプライするっていうのと同じで人間ていつの時代もそうそう変わらないものだと感じた作品でした。

ただ、気になるのは冒頭の女性が外国人に英語を習いに行ったら結果日本画を習うという無理くりな内容は必要やったのか?

マンガで教養 やさしい日本絵画 (マンガで教養シリーズ)
 

 

伝える仕事、池上彰、講談社

皆さんご存じの池上彰さん。

この本は池上さんがNHKの記者時代の話からフリーのジャーナリストになるまで、どんなことをやりたいと考えてどんな風に仕事をしてきたかをまとめた一冊。

テレビでニュースの解説をよくされますが、あまりニュースに興味がない人でも池上さんの話はわかりやすいと感じるのではないでしょうか。

それは、記者時代に先輩の文章を手書きで真似したり、デスクから不要なものは省けといった努力や周りのサポートがあり、人に伝えるにはどうすればよいかを考えてきた結果。

ただ、今回この本を読んだときに内容に何かおもしろ味がなかったんですよね。

いつもニュース解説はすごい聞きやすいのですが、文章になった途端メリハリがなくつまらない感じ。

やっぱり池上さんにはしゃべってほしいですね。

 

伝える仕事

伝える仕事

  • 作者:池上彰
  • 発売日: 2020/05/27
  • メディア: Kindle版