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【本レビュー】読解力の強化書|佐藤優

未来を生きるための読解力の強化書

『日本語は行間を読む言語だ。小説は行間に意味がある』みたいなことが言われるから、行間のたびに手が止まり必死に何かを探したりしたことありませんか?

私も必死に探したことがありますが、結局見つかったことは何もなかったです。

『読解力の強化書』は2021年に10月に出版されました。

帯には『「行間を読む力」がもっと必要になる』と書いてあったのと、伊坂幸太郎や昭和の文豪たちの本をたまに読んだりするので、もっと本を楽しむために行間を読み取れるようになりたいと思い読んでみました。

本の行間を読み取りたい

全体の感想としては、正直最初の2章で十分かなという印象。

あまりにも、補足と宗教の話ばっかりなので、単なる宗教雑学本にしか思えなかったのが感想です。雑学は雑学で面白かったですが。

本書『読解力の強化書』を買うか迷ってる人は参考にしてみてください。

読解力の教科書のレビュー

最初に読んだ感想は、この本の対象者は誰?でした。

実用書コーナーで見つけたけど、社会人というよりは学生に向けた本という印象が強い。

本書をパート分けすると、前半の読解力についての説明と後半の中学生への講義抜粋の2パートにわけることができます。

前半の読解力パートは、著者が考える『読解力とは』の記載があるが、その読解力を鍛えるためにすべきことの記載は少なく、むしろ、なぜ読解力が必要か、今の日本人の読解力は低い、その理由は社会構造やSNSによるエコーチェンバー現象があるといった補足ばかりの内容。

後半のパートは、中学生を対象とした小説塩狩峠を用いた読解力強化講義の一部抜粋になってる。

内容的には、行間を読むための講義内容というよりは、宗教を理解するための講義内容と言ったほうが相応しいとさえ思った。前半後半で分けて、前半を『読解力必要性とは』、後半を『塩狩峠から理解する宗教』みたいな本にして売った方がいいんじゃないかくらいの内容。

「佐藤優ってこんな内容が薄い本を書いてたっけ?」という印象しかなかった。

本書の帯にある、『「行間を読む力」がもっと必要になる』という文章が気になっている人もいてるとは思うけど、この本を要約すると、相手や文章の言語・非言語情報から言葉の裏を読めるようになりましょうということだけ。

その情報の裏を理解するためには、ロジカルリーディングやクリティカルリーディングを駆使し、文章を吟味する読み方と背景を理解する想像力が必要で、それらができてから『要約』と『敷衍』をすると読解力が備わってきますよ、といったところかな。

あとは、見出しが本文と合ってないところがちょいちょいあって、見出しを前提に読んでみたけど内容が頭に入ってこないという箇所がいくつかありました。

おすすめ度:★★☆☆☆

著者の読解力の定義

著者の考える読解力は、「読む」「書く」「話す」「聞く」の4つから構成されていて、特に「読む」が一番重要だと考えてる。それを踏まえて読解力を、『相手を正しく理解し適切に対応する力』と定義してる。

この『相手』というのは、人間でも文章でもどっちでも当てはまると思うけど、そうなると著者が言う『読む』には『聞く』も入ってるのではないかなと思った。ここでいう『読む』は、目から入ってくる『文章』でも、耳から入って来る『音』でも、結局それが何なのかをまずは正しく理解するということ。そうなると3つからの構成でよくて、『聞く』が蛇足にしか思えなくなった。

前半は読解力の必要性

単に日本人の読解力が落ちているから読解力がいかに大切かを語っている。SNSやコミュニティといった社会構成が読解力を妨げてるし、自分に都合のいい情報だけを集めて、都合の悪い情報は見向きもしないエコーチェンバー現象にハマってる人が多い。

後半は中学生との講義の抜粋

課題図書として中学3年生に小説『塩狩峠』を事前に読んでもらい、講義中に感想を述べて、佐藤氏がそれに対してコメントしたり、作者や登場人物の背景についてキリスト教や仏教の話を交えながら解説してる。このパートは、ほぼ宗教の雑学本。

読解力を鍛えるなら前半2章まで読めばいい

社会人が読むとしたら2章まででいい。

後は実践するのみ。

結局のところ、人生で必要な行間を読む力『読解力をどう強化していくか』については、言語と非言語の情報から相手や文章の意図を読み取るとしか書いていない。

その読み取る力の鍛え方も、文章を読み文意を理解して、『要約』と『敷衍』をする程度のものなので、何かしら本を読み自分で実践するしかない。

本書では『塩狩峠』を題材にした中学生向け講義の抜粋を載せているが、実際に自分でやるとなると、誰も解説も添削もしてくれんからすごいモヤモヤしそう。

ただ、佐藤氏の講義の内容は面白いので、小学校~中学校ではもっと登場人物や状況の背景・意図を考えさせるものにした方が後々子供たちのためになりそう。

社会人が読解力を鍛えるためならこの本でなくていい

この本より他の読解力本を探そう

久しぶりに佐藤氏の本を読んだけど、「こんな内容の薄い本を書いてたっけ?」っという印象で終わってしもた。本人がキリスト教なので、過去に読んだ本にもちょいちょい宗教話は入ってたけど、もうちょっと読み応えのある本やった気がする。

というわけで、もし社会人が読解力を鍛えたいなら、本を読んだり人と話しながら下記の練習を積み重ねてみましょう。

読解力を鍛えるポイント
  • ロジカルリーディングとクリティカルリーディングで情報を正しく理解する
  • セリフや出来事の背景を理解する
  • 言葉の裏、相手が表には出していない感情や思いを読む
  • 要約と敷衍をする

本を一人で読んでも味気ないというなら、読書会に参加して他の人の意見を聞いたり、解説できる人に効いたりするのがいいかもですね。
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