2020年11月、東京現代美術館(MOT、MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO)で開催されている石岡瑛子展に行ってきました。
展覧会自体は乗り気ではなかったけど、ものづくりが好きな人間としては結果見てよかったと思えた展覧会でした。
タイトルは
「血が、汗が、涙がデザインできるか」
(英題:Blood, Sweat, and Tears - A Life of Design)
MOTは東京都江東区にあり、最寄り駅は東京メトロ半蔵門線の清澄白河駅か、東西線の木場駅です。
2駅とも歩いて10分程度でMOTに着くので、行きやすい駅でおりればいいです。
今回初めてMOTに行ったんですが、石岡瑛子氏の展示だからではなく、単にMOTに行ってみたかったから。
むしろ、この企画展自体は正直楽しみではなかった。
というのも、HPに掲載されてる作品の絵に絶妙な嫌悪感があったから。
”MOT HP”
この右側の線画です。
パンフレットも同じ作品が表紙になってましたが、どうやら映画ドラキュラ(フランシス・フォード・コッポラ作、1992)で衣装デザイナーとして参加しており、その時のイメージデザイン画ということ。
これがまた、線画に赤色ベースで描かれてるんですが、心理的に目を背けたくなる。
映画ドラキュラは観てないけども、ホラー映画と考えると見事なデザインなのかも。
展覧会の内容は3パートに分かれてます。
1つめが、「TIMELESS時代をデザインする」
資生堂時代と独立後の広告キャンペーンで作成した作品が展示されてる。
2つめは、「FEARLESS出会いをデザインする」
マンネリを防ぐため1980年にニューヨークへ渡米し、広告だけでなく舞台・映画などエンタメ会にも活動の場を広げ、そこで手掛けた作品を展示。
3つめ、「BORDERLESS未知をデザインする」
ボーダーレスで様々な分野に活動の場を広げ、映画やオリンピック、舞台用にデザインした服飾とそれらの映像が展示されていた。
個人的には1つめと2つめのパートで展示されていたパルコの広告やレコードのジャケット作成の過程で、石岡氏がどんなことを考えながら作成していたのかが面白かった。
展示会ではそれぞれの作品の完成形が飾られてるが、作成途中で上がってきたドラフト版も飾られてて、このドラフト版にこれでもかとコメント入れてる。
「この部分の丸みを取る」、「これが上手く表現できないと作品としてなりたたない」など、自分のイメージに限りなく近づけるために細かい指示がたくさん入っている。
けども、その指示の内容はなるほどと納得できるもので、確かに完成形と比較すると作品として精度が違うのが見てとれた。
それに、個人的なイメージやけども、こういう場合の指示ってぶっきらぼうに命令口調な内容を想像するけど、石岡氏の指示にはそんなトゲトゲしい感じがなかった。
もっと作品をよくするために、一緒に作り上げようとする気持ちが伝わってくるものだった。
まぁ実際に仕事した人にしかどんな印象だったかはわからんと思いますが。
しかし、一つの作品を作り上げるに、こうも一つ一つ、髪の毛一本の写り具合までこだわるかと深い印象を受けた。
二番煎じを嫌い、未経験の仕事ほど魅力を感じる石岡が、日本で主に手がけてきたグラフィックに留まらず、舞台や映画の美術、衣装など、デザインの領域を広げていったのは自然の流れだった。
"展示会ガイド"
デザイナーとしてマンネリにならないよう、いつ見ても色褪せない作品を創ろうとしていた石岡さんの展示会を見て、自分の仕事の精度をもっと上げていこうと感じれたので、最初は乗り気でなかった展示会も結局のところ見て良かったと言える展示会でした。
休館日や料金はこちら。
同時に開催しているMOTコレクションとの企画展券もあります。
開館時間・休館日/観覧料 | ご利用案内 | 東京都現代美術館|MUSEUM OF CONTEMPORARY ART TOKYO
・MOTコレクション:MOTアニュアル2020 透明な力たち