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【本レビュー】LIFE SHIFT 2:MIND SHIFTで人生を考えよう

LIFE SHIFT2―100年時代の行動戦略

LIFE SHIFT 2は、経済学者のアンドリュー・スコットと、経営学者のリンダ・グラットンによる本。

前作LIFE SHITは日本でも話題になり、漫画版や超訳版も出版されてるくらい人気シリーズ。

今回は、人生100年時代にどんな戦略を立てて行動していくべきかを考えてもらうための本で、2/3は人にフォーカスした戦略、残り1/3は企業、教育機関、政府への問題提起となっている。

このブログを読む人に、残り1/3にあたる人が読むとは思えないので、人の戦略部分について簡単にまとめました。

LIFE SHIFT 2の概要

長寿時代に個人に求められることは、“これからの人生のあり方を構築すること”で、個人にかかる責任は重い。金銭面、職業人生、健康と、考えることは山のようにあるから。

それでも、自分の物語を紡ぎ出さざるを得ない。

そのためには、企業や政府が働く環境をもっと柔軟にしていくべきだと指摘している。

テクノロジーやAI、ロボットが、人の仕事を奪っていくと予想されているが、過去の事例からいくと新しい仕事も生まれているため、悲観的になることはない。

ただ、現状維持でいると、将来に環境移行(退職や転職etc)のときに対応できなくなる可能性があるから、スキルとキャリアは常に考え、人との深い繋がりを作っておくべき。

また、前作LIFE SHIFTと同じように、複数の国の仮想人物を設定して、その人たちがどのように長い将来を考えていくかを解説している。

今回の日本の登場人物は、ヒロキとマドカの金沢市に住む20代カップル。

『これまでの親世代の共通認識であった、一つの企業に勤めあげるという概念が変わってきているのを感じ、自分の可能性を探ろうとする二人。キャリアを積み上げたいが、子供を作るとキャリアに不利となることは避けられない。』

という設定。

前作LIFE SHIFTのキーワード
  • 人生100年時代
  • 3ステージの崩壊とマルチステージへの移行
  • 勉強→仕事→勉強→仕事
  • 終身雇用の崩壊と生活の安定性確保が難しくなる。
  • お金の確保
  • 人間関係や知識、スキルが大事(無形資産)
  • 新しいことに挑戦する勇気

LIFE SHIFT 2を行動戦略本として読んでも戦略は立てられない

行動戦略本として売られているが、読み手のレベル次第な内容。

というのも、このような人生戦略をよく読む人にとってはあまり新しいことは得られないかもしれない。内容的にも、前作と内容が被っているところがあるし。

しかし、普段あまり本を読まない人・前作を読んでいない人にとっては、自分のこれからの人生を考えるために有益。

今回の本で主張しているのは下記のとおり。

  • 一人一人がどのように人生を組み立てるか
  • 企業・教育機関・政府が環境を変えていく必要がある

その戦略が書かれているのかと思って読んでみたけど、問題提起と啓発的なことしかほぼないので、戦略本としてはやはり薄い。

おそらく、各登場人物が立たされている苦境や将来の悩みに対してどう対応していくかを説明して、それを戦略の一つとしてるけど、いかんせん、思い付きのようなベストシナリオしか書かれていない。

あとは、データとか他の人の言葉を引用して、問題提起してるだけなので、実際の戦略に落とし込むというのはなかなか難しいのではないかな。

ちなみに、ヒロキとマドカの戦略を纏めると、
”将来の人生を模索し、二人で話し合う”
だった。

もう少し詳しく説明すると、『キャリアをいくつか列挙して試してみて、そこから新しい仕事をまた見つけていく』という内容なので、自分のことは自分で考えようとしか言えない。

ライフとキャリアをつねに考えていくことが必要

自分のライフとキャリアについて考える

正直、将来をスパッと見通して、それに適応できるようなスキルを付けれるような人なんてそうそういない。というか、それができる人ならさっさと勉強して起業して稼げばいい。

でも、世の中はそんな人ばっかりではない。

いつものタスクで手一杯な人も多いはず。次から次へとやってくる仕事に家庭の問題、終わりの見えない婚活。みんないろんなことに悩んでいる。

それでも、やはりやっておかないといけないのは、自分のライフとキャリアをどう進めていくかということ。

人生100年時代で、年金の受給年齢は引き上げられ、80代まで働くとなれば、どう生きるかを考えるのは必須と言える。

ちなみに、TOYOTAの豊田社長は「雇用を続ける企業などへのインセンティブがもう少し出てこないと、なかなか終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきた」と発表したらしい。世界のTOYOTAでも年功序列に給料が上がっていく制度であれば、80代まで見れるわけがない。

60歳までひたむきに一つの仕事に従事し、突然退職となればどうするか?
100歳までどうやって生活していくのか?
同じ仕事で雇ってくれる企業があるのか?

はっきりいえば、そんな将来のことはわからない。ベーシックインカムみたいな話題もチラホラ上がってるし。

ただ言えるのは、同分野のスキルだけでなく横にそれたスキルと磨きキャリアの幅を広げれる準備をしておくのが大事なんだと思う。

あとは、カラダの健康を保つことも大事。

長寿になるのはいいけど、やっぱり健康寿命も伸ばしていかないと、退職してから「ずっと寝たきり」「動くのがツライ」みたいな状態だと、なんのために長生きするのかわからない。

できるだけ、いつまでも自分の足で立って、歩いてたい。

LIFE SHIFTというよりMIND SHIFTが大事だと思う

おそらくこの本を読む多くの人は、医療の発展で確実に今の親世代よりは長生きする時代になると予測しているはず。再生医療で臓器を丸ごと入れ替えたり、老化を遅らせたりする技術が出てくるかもしれん。

そうなると、ホンマに「将来のことをどうすればいいのか?」に悩んで動けなくなってしまうやんね。

だからちょっとずつでもいいから、自分の仕事と環境がどう変化していくか、そこにどう適応できそうかを日々情報を集めながら考えるしかないと思う。

明るい将来になるようにしたいですね。